書類が電子化されても、社内の回覧や確認には「押した跡」が求められ続けています。稟議書、注文請書、印刷前の校正紙、経費精算の確認欄。紙なら机の上の認印で3秒で済んだ作業が、PDFになった途端に「印刷して押してスキャンし直す」という一往復に化けます。
OFFilerの認印・スタンプ作成は、その一往復を消すために作られています。印影をブラウザ内でデザインし、そのままPDFマークアップや画像マークアップへ渡して押印できます。印影データが外部のサーバーへ送られることは一切ありません。以下では、4種類の印影の使い分け、内部でどう描画しているか、書類に押すまでの経路、そして「これは実印ではない」という前提について説明します。
4種類の印影と、どれを選ぶか
認印(日付入り)— 確認した事実と日付を同時に残す
円を2本の水平線で3段に区切り、上段に部署名や会社名、中段に日付、下段に氏名を配置する形式です。日本の職場でいわゆる「データ印」「日付印」と呼ばれているものにあたり、既定で選択されています。中段の日付は入力欄を空にしておけば当日の日付が自動で入り、任意の日付を指定することもできます。
日付の書式は和暦(令和)と西暦の3形式から選べます。和暦は元号の切り替わりを正しく扱い、令和・平成・昭和・大正を年から判定します。元号の1年目は「令和元年」のように「元」と表記されます。西暦は「2026.08.14」のゼロ埋め、「2026. 8.14」のゼロなし、「26.08.14」の2桁年の3通りです。
中段に入る日付の文字サイズは、指定した値と段の高さの両方を見て自動的に抑えられます。和暦で「令和8年12月31日」のように文字数が増えても、線からはみ出さずに収まるようになっています。
丸印・楕円印・テキスト印
丸印は円の中に一語を大きく置く形式で、「承認」「済」「秘」のような確認印に向いています。楕円印は縦長の楕円に文字を縦書きで配置します。縦書きは指定した文字列をそのまま縦に流すため、氏名を入れると印鑑らしい見え方になります。
テキスト印は円ではなく四角い枠で、最大3行のテキストを縦に並べられます。角印のような見た目が必要な場合や、「社外秘」「サンプル」といった長めの文言を入れたい場合はこちらを使ってください。行数は入力した行だけが数えられ、空欄の行は詰められた上で全体が縦方向に均等配置されます。
内部で何をしているか
SVGで組み立ててから任意の大きさへ描き起こす
印影はまず200×200の座標系を持つSVGとして組み立てられます。円・弦・枠線・各テキストがすべて図形として定義された状態です。PNGが必要になった時点で、このSVGを指定の画素数のキャンバスへ描き起こします。
つまり画像を拡大しているのではなく、その大きさで描き直しているということです。PNGダウンロードは500×500画素で書き出されるため、資料に大きめに貼っても輪郭がぼやけません。SVGのままダウンロードすることもでき、その場合はどれだけ拡大しても劣化しません。
フォントは端末のものが使われる
書体は明朝体・ゴシック体・筆記体から選べますが、これらは総称としての指定で、実際に描画に使われるのは端末にインストールされているフォントです。そのため同じ設定でも、WindowsとMacでは字形が微妙に異なることがあります。筆記体は日本語のグリフを持たないフォントに解決される場合があり、その際は別の書体で表示されます。
この違いが問題になるのはSVGで配布したときです。SVGは図形の定義なので、開いた相手の端末にあるフォントで描画されます。字形まで含めて固定したい場合は、SVGではなくPNGで渡してください。PNGは描き起こした時点の見た目がそのまま画素として保存されます。
設定はブラウザに保存され、書き出すこともできる
作った印影の設定は、そのブラウザのローカル保存領域に自動的に記録されます。ページを閉じて数日後に開いても、前回の印影がそのまま出てきます。印影の種類ごとに文字やサイズが個別に保持されるため、丸印と日付印を行き来しても入力し直す必要はありません。
この保存はブラウザ単位なので、別の端末や別のブラウザには引き継がれず、ブラウザの保存データを消すと設定も消えます。設定はJSONファイルとして書き出し・読み込みができるので、複数の端末で同じ印影を使う場合や、消える前の退避にはこちらを使ってください。
作った印影を書類に押すまで
マークアップ側の「スタンプを押す」で直接呼び出す
いちばん短い経路はこちらです。PDFマークアップと画像マークアップには「スタンプを押す」ボタンがあり、押すと保存されている最新の印影がその場で描き起こされて配置されます。ファイルを保存する必要も、クリップボードを経由する必要も、このページに戻る必要もありません。
配置後はドラッグで位置を調整できます。まだ印影を作っていない状態でこのボタンを押した場合は、先に設定するよう案内が出ます。
クリップボード経由で他のアプリにも押す
コピーボタン、あるいは文字入力欄の外でCtrl+C(MacはCmd+C)を押すと、印影が150画素のPNGとしてクリップボードに入ります。この大きさは、文書に貼り付けたときに実物の印鑑とだいたい同じ見た目になるように選んであります。
クリップボードに入ってしまえば、貼り先はOFFilerの中に限りません。WordやExcel、スライド、チャットの投稿欄など、画像を貼り付けられる場所ならどこでもCtrl+Vで押せます。ブラウザの権限設定などでクリップボードへの書き込みが拒否された場合は、自動的にPNGのダウンロードに切り替わります。
これは実印ではない — 前提と制限
作られるのは印影の画像であって、法的な証明ではない
このツールが作るのは印影の画像です。市区町村に登録する実印や、それを裏付ける印鑑証明書とは何の関係もありません。また、電子署名法で定義される電子署名でもないため、署名者の同一性や文書の非改ざん性を技術的に証明するものではありません。
画像である以上、受け取った相手がそれを複製することも可能です。したがって想定している用途は、紙の世界で認印が担っていた範囲、つまり社内の回覧・確認・受領の記録です。契約の成立そのものに法的な効力を持たせる必要がある場合は、電子署名や電子契約のサービスを使ってください。
印面は正方形の枠に収まる範囲で描かれる
印影は縦横比1対1の座標系で組み立てられているため、極端に長い文字列を入れると枠からはみ出したり、読めない大きさになったりします。文字数が多い場合は、各テキストのフォントサイズを個別に下げて調整してください。上段・中段・下段それぞれに独立したサイズ指定があります。
色と線の太さも自由に変えられます。既定は印鑑らしい朱色ですが、社内で色分けの運用がある場合などは任意の色を指定できます。背景を透過にするか白で塗るかも選択でき、透過にしておくと書類の文字の上に重ねても下が見えます。
仕様と制限
- 印影の種類
- 認印(日付入り)/丸印/楕円印(縦書き)/テキスト印(角枠)
- 書体
- 明朝体・ゴシック体・筆記体(端末のフォントを使用)
- 日付書式
- 和暦(令和・平成・昭和・大正/元年表記対応)、西暦3形式
- 日付の指定
- 未入力なら当日。任意の日付も指定可
- 出力
- PNG(500×500px)、SVG(ベクター)
- クリップボード
- 150pxのPNGをコピー(Ctrl+C / Cmd+C 対応)
- マークアップ連携
- PDF・画像マークアップの「スタンプを押す」から直接呼び出し
- 調整項目
- 色、線の太さ、各テキストのフォントサイズ、背景の透過
- 設定の保存
- ブラウザに自動保存。JSONで書き出し・読み込み可
- 法的な位置づけ
- 印影の画像。実印・印鑑証明・電子署名とは無関係
- 通信
- 印影データの送信なし。処理はすべてブラウザ内